賃貸で給湯器が故障したときの家賃減額はできる?正しい手順と交渉のコツ
突然お湯が出なくなる。
それは、まさに「生活の基盤」が揺らぐ瞬間です。
お風呂に入れない、皿が洗えない、手を洗っても冷たい。
特に冬場なら、精神的にも身体的にも大きなストレスになります。
このような「給湯器の故障」が起きたとき、多くの入居者が疑問に思うのが、「この状況で家賃を減額できるのか?」という点です。
実は、2020年の民法改正により、入居者に過失がない設備トラブルによって生活が制限された場合には、家賃の減額を請求できるようになりました。
しかし、減額の可否や金額はケースによって異なり、交渉の仕方を誤ると認められないこともあります。
この記事では、賃貸物件の給湯器が故障した際に家賃を減額できる条件・交渉の手順・注意点を、具体例を交えながら分かりやすく解説します。
給湯器の故障による家賃減額の法的根拠
給湯器は、生活インフラの中でも極めて重要な設備です。
お湯が出ない状態は、単なる不便ではなく「生活に支障がある」と法律で判断される可能性があります。
民法606条と2020年改正のポイント
2020年4月の民法改正により、賃貸契約における「修繕義務」と「家賃減額請求権」が明確化されました。
簡単に言えば、入居者に責任のない設備トラブルで生活が制限された場合、その期間に応じて家賃を減額できるというルールです。
たとえば、給湯器の経年劣化や部品の故障など、自然な劣化でお湯が使えなくなった場合は、貸主(大家)が修理を行う義務があります。
もし修理まで時間がかかる場合、入居者はその期間分の「居住の価値が下がった」として、家賃減額を求めることが可能です。
家賃減額が認められるかどうかの判断ポイント
とはいえ、すべての給湯器トラブルで家賃が減額されるわけではありません。
次の3つの条件を満たしているかどうかが、減額が認められるかの分かれ目です。
故障の原因が貸主側にあるか
給湯器の寿命(一般的には10~15年)による経年劣化や自然故障であれば、貸主の管理責任の範囲内です。
一方で、入居者の使用ミス(凍結防止ヒーターを切った、ガスの元栓を閉めたまま放置した等)による故障は入居者の責任となり、家賃減額は認められません。
故障期間が長引いているか
1~2日で修理が完了する場合は、減額の対象にならないことが多いです。
しかし、部品取り寄せや新品交換が必要で数日から1週間以上お湯が使えない状態が続く場合は、「生活上の支障」と判断されやすくなります。
特に冬場や家族世帯の場合、日常生活への影響が大きく、減額請求が正当とみなされるケースが増えています。
大家や管理会社の対応が遅い場合
入居者が連絡したにもかかわらず、管理会社の対応が遅く、修理までに時間がかかった場合は、対応の遅れが家賃減額の理由として認められることがあります。
逆に、管理会社が即座に修理を手配した場合や、天候やメーカー都合で遅れた場合は、減額が難しいこともあります。
家賃減額の目安と計算方法
「どのくらい減額してもらえるのか?」というのは誰もが気になるところです。
ここでは、国土交通省が示す「賃料減額ガイドライン」を参考に、一般的な目安を紹介します。
| 状況 | 減額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| お風呂が使えない | 家賃の10%前後 | 給湯器故障に該当 |
| トイレが使えない | 家賃の15~20% | 生活への影響が大 |
| エアコンが使えない(夏・冬) | 家賃の5~10% | 季節・地域により変動 |
| 水漏れや騒音などの軽微なトラブル | 家賃の1~5% | 状況に応じて |
この減額は「免責日数(通常3日)」を除いた期間に対して適用されます。
たとえば、家賃7万円でお風呂が使えない日が7日間続いた場合、
(7日−3日)×10%=約2,800円前後が減額の目安となります。
あくまで参考ですが、「どの程度の補償を求めるか」を考える際の基準になります。
減額を請求するための具体的な手順
減額を成功させるためには、感情的にならず、事実を整理して証拠をそろえることが大切です。
1. すぐに貸主・管理会社へ連絡する
お湯が出なくなった時点で、できるだけ早く管理会社や大家さんに報告しましょう。
「いつから使えないのか」「どんな症状か」「どのような生活の支障があるか」を具体的に伝えることで、対応がスムーズになります。
電話だけでなく、メールやLINEなど記録が残る形で報告するのが理想です。
2. 故障や対応の記録を残す
減額を求める際に最も重要なのが「記録」です。
・お湯が出なくなった日時
・貸主・管理会社に連絡した日時
・修理の完了日
・生活への支障の程度(入浴できない、食器洗いができない等)
これらを写真・メモ・メール履歴などで残しておくと、交渉の際に説得力が増します。
3. 減額の相談・交渉を行う
修理が完了した後、上記の記録をもとに大家や管理会社へ減額交渉を行います。
「〇日から〇日までお湯が出ず、生活に支障がありました。賃料減額をご相談させてください」と、冷静かつ丁寧に伝えるのがポイントです。
管理会社が間に入る場合は、状況を整理して文書化しておくとスムーズに進みます。
4. 代替手段として銭湯代などを相談
給湯器故障によってお風呂が使えない場合、銭湯やコインシャワーの利用費を貸主側が負担してくれることもあります。
特に短期間(3~4日以内)で修理が終わる場合は、家賃減額よりも「実費補償」の方が現実的です。
この場合も、必ず事前に了承を得てから利用し、領収書を保管しておきましょう。
家賃減額交渉の注意点
減額交渉を進めるうえで、いくつかの注意点を理解しておくことが大切です。
免責日数を理解する
「免責日数」とは、修理のための合理的な準備期間(通常3日程度)を指します。
この期間中は、家賃減額の対象外とされることが多く、請求しても認められないケースがほとんどです。
したがって、「お湯が出ない初日から全額減額してもらえる」というわけではない点に注意しましょう。
家賃が全額免除になることはほとんどない
給湯器の故障は「建物全体が使用不能」ではないため、家賃が全額免除になることは基本的にありません。
減額は、あくまで「生活の一部機能が失われた」分に対して行われます。
修理が完了した時点で、家賃は通常額に戻るのが一般的です。
ホテル代は原則補償されない
「お湯が使えないからホテルに泊まった」としても、その宿泊費を請求できるケースはほとんどありません。
民法上、ホテル代は生活維持のための“代替手段”とはみなされないため、事前承諾なしでは補償対象外です。
やむを得ずホテルを利用する場合は、必ず事前に貸主へ相談し、了承を得るようにしましょう。
家賃減額が難しい場合の代替案
家賃減額がスムーズに認められない場合でも、次のような方法で負担を軽減できることがあります。
- 銭湯やコインシャワーの利用費を貸主に相談
- ガス会社や給湯器メーカーに緊急対応を依頼
- 一時的なポータブル給湯器の設置を提案
特に、長野県など寒冷地では「凍結による故障」も多いため、地域事情に合わせた柔軟な対応が求められます。
まとめ:記録と誠実な交渉が家賃減額成功の鍵
給湯器の故障は、誰にでも起こりうる生活トラブルです。
しかし、焦らずに正しい手順を踏めば、家賃の減額や銭湯代の補償といった形で生活への不便を軽減することができます。
重要なのは、
・すぐに連絡し、記録を残すこと
・冷静に、誠実に交渉すること
・無断で行動せず、事前相談を欠かさないこと
これらを守ることで、大家さんや管理会社との信頼関係を保ちながら、適正な補償を受けることができます。
弊社では、こうした給湯器トラブルや設備故障に迅速に対応し、入居者・貸主双方が納得できる形での修理・交換を行っています。
「お湯が出ない」「修理が遅れて困っている」そんな時こそ、専門の知識と実績を持つ業者に相談してください。
困ったときに頼れる存在がいる。
それが、安心して暮らせる賃貸生活の第一歩です。
























