新築なのに夏になると床が鳴る?その原因と対策・業者選びのポイントとは?
新築の家で迎える最初の夏。
せっかく新しい家なのに、歩くたびに「ギシッ」「ミシッ」と床が鳴る
そんな経験はありませんか?
「まだ住み始めて数か月なのに」「欠陥住宅なのでは…?」と不安に感じてしまう方も多いでしょう。
ですが、安心してください。
実は「夏の床鳴り」は、新築住宅ではよくある現象なのです。特に梅雨から夏にかけて湿度が高くなる時期には、木材が膨張して音が出やすくなります。
それは決して“失敗の家づくり”ではなく、「木の家が呼吸している証拠」とも言える自然現象なのです。
この記事では、新築の夏に起こる床鳴りの原因と対処法を、専門的な知識に基づきながらもわかりやすく解説します。
放っておいていい床鳴りと、早めに業者へ相談すべきケースの見極め方もお伝えします。
新築の夏に床鳴りが起こる主な原因とは?
床鳴りの多くは、木材の性質や湿度の変化が関係しています。
特に新築直後の数年間は、木材がまだ落ち着いていないため、音が出やすい時期なのです。
木材の伸縮と膨張による摩擦音
夏場や梅雨の時期は湿度が高く、空気中の水分を木材が吸収して膨張します。
このとき、フローリングの継ぎ目(「実(さね)」と呼ばれる部分)が互いに押し合い、摩擦を起こして「ギシギシ」と音を立てます。
木は呼吸する素材です。冬の乾燥期には収縮し、夏の湿潤期には膨張します。
つまり、気候によって微妙にサイズが変わることで、音が出るのはごく自然なこと。
新築の床鳴りは、まさにこの“木の呼吸音”のようなものといえるでしょう。
特に竣工から1年以内の住宅では、まだ木材内部に含まれている水分が完全に抜けていないことも多く、湿度変化に対して敏感に反応します。
接着剤や下地の固定不良によるズレ
中には、施工上の問題で床鳴りが起こるケースもあります。
床材を支える下地や接着剤が均等に密着していない場合、踏むたびに床がわずかに浮き沈みし、摩擦や金属音が発生します。
ただし、これはすぐに「施工ミス」と断定できるものではありません。
新築時は建物全体がまだ環境に馴染んでおらず、微妙な動きが構造体に伝わって音を生み出すこともあります。
木材が安定してくる2〜3年目には自然に鳴らなくなるケースも多いのです。
夏の床鳴りは放っておいても大丈夫?見極め方のポイント
床鳴りの中には「自然な音」と「注意が必要な音」の2種類があります。
見極めのポイントは、音の大きさ・頻度・発生箇所の3つです。
もし「特定の一部分だけ」「軽く鳴る程度」なら、湿度や温度による自然現象の可能性が高く、様子を見ても問題ありません。
しかし、「広範囲で鳴る」「歩くたびに大きな音がする」「沈むような感覚がある」場合は、下地や施工に問題があるかもしれません。
このような場合は、早めに工務店や専門業者に点検を依頼することで、構造的なトラブルを未然に防ぐことができます。
新築の床鳴りを抑えるための湿度管理
床鳴りの主な原因が湿気による木材の膨張である以上、湿度のコントロールが最も有効な対策です。
除湿器やエアコンを活用する
湿度が高くなりすぎると木材が膨張して床がきしみやすくなります。
梅雨の時期や真夏は、除湿器やエアコンの除湿機能を活用して室内の湿度を50〜60%程度に保つのが理想です。
特に夜間や締め切った日中などは湿度がこもりやすいため、定期的な換気を行うことも大切です。
乾燥しすぎにも注意
逆に、冬場などに乾燥しすぎると木材が収縮して隙間ができ、パキッとした音を出すことがあります。
湿度を一定に保つことが、木材にとって最も安定した状態を保つコツです。
夏も冬も、「極端にしない」ことが、床鳴りの予防につながります。
時間が解決するケースも多い!まずは様子を見るという選択肢
新築直後の床鳴りは、一時的なものがほとんどです。
建物全体が季節の変化に馴染むまでには、1〜2年ほどの“慣らし期間”が必要です。
実際、梅雨や真夏に鳴っていた床が、秋や冬になると音がしなくなることもあります。
これは木材が吸収していた湿気を放出し、再び落ち着いた状態に戻るためです。
無理に分解したり、釘を打ったりせず、まずは環境変化を見守ることも賢い選択です。
それでも1年以上続く、あるいは徐々に音が大きくなるようであれば、業者に相談しましょう。
専門業者に相談すべきケースとその理由
床鳴りが数か月経っても改善しない場合や、音の発生源がわからない場合は、専門業者への相談が必要です。
理由は単純で、木材の自然現象と構造的なトラブルは、見た目では区別しにくいからです。
業者による点検では、以下のようなことをチェックします。
- 下地材(根太や合板)の浮き・緩みの有無
- 床材と接着剤の密着状態
- 釘やビスの締め付け具合
- 湿度・換気環境の確認
これらを丁寧に調べることで、「自然現象なのか」「施工補修が必要なのか」が明確になります。
特に新築から2年以内であれば、住宅保証の対象になるケースもありますので、まずは販売元や工務店に相談するのが安心です。
専門業者による修理・調整方法
専門業者が行う床鳴り修理は、原因に応じて次のように対応します。
| 原因 | 主な修理内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 木材の膨張・収縮 | 隙間調整、摩擦軽減剤の注入 | 木材の動きを考慮し、無理に固定しない |
| 下地の緩み | ビス・釘の締め直し、再固定 | 下地へのアクセスが必要な場合あり |
| 接着不良 | 接着剤の再注入・部分補修 | 接着層の劣化を確認 |
| 湿気・結露 | 床下の換気改善、断熱調整 | 再発防止が重要 |
現場では床材を一部剥がすことなく、ピンポイントで補修できるケースも多くあります。
施工のプロに依頼することで、再発を防ぎながら美観を保つことができます。
夏の床鳴りを防ぐためにできる日常の工夫
床鳴りを完全にゼロにすることは難しいですが、日頃の生活の中で発生を抑える工夫はできます。
- 窓を閉め切らずにこまめに換気する
→ 湿気がこもらず、木材の膨張を防ぎます。 - 家具の重みを一点に集中させない
→ 床材への圧力バランスが保たれ、歪みを防ぎます。 - エアコンの除湿モードを上手に使う
→ 室内環境を一定に保ち、木材の動きを穏やかにします。
このような日常の小さな工夫が、長く快適な住まいを維持するポイントになります。
まとめ:新築の夏の床鳴りは“家が育つ音”。焦らず正しい理解を
夏の床鳴りは、多くの場合「木材が環境に馴染む過程」で起こる自然な現象です。
湿気を吸って膨張し、乾燥して収縮する。まるで家が季節とともに呼吸しているかのようです。
もちろん、施工不良や構造の問題が隠れていることもあります。
だからこそ「放置せず、正しく見極める」ことが大切です。
除湿や換気で環境を整える、一定期間様子を見る、それでも不安が残る場合は専門業者に相談する。
この3ステップを踏むことで、あなたの家はより長く、美しく、快適に暮らせる住まいへと育っていきます。
























